8月15日。いつものように武雄にいます。70年前に思いをはせるのはもちろんのこと、もう一つ思うのは、武雄市の賑やかさ。東京が空っぽになるのと軌を一にして、武雄のような田舎は人が溢れかえる。今日、いつものように愛犬マーチと一緒に散歩ランニングに出かけたんだけど、散歩大好きなマーチが尻込みする。県外ナンバーの車がやたら多く、その上、図書館には長蛇の渋滞に、マーチがビビる。
その一方で、市内そこかしこに、久しぶりに揃った三世代、親戚の皆さんたちの宴の賑やかな声が。同窓会も同時に開催される。しかし、毎年、一夜過ぎれば、もぬけの殻。また、武雄はほかの周辺市よりましだけど、年配の皆さんが多い静かな町に戻ってしまう。僕は市長時代、高齢者の皆さんとの交流会では、たまにだけど、「盆と正月は来ないほうがよか。だって、息子や孫が帰ったらさびしかもん。」という声も。
そういった中で、独居老人世帯が増え、空き家も増え、孤独死も武雄市ですら例外では無くなったことは、市長になって、毎年、その悪化(進行)が目に見える形で進行していきました。当然、僕らも手をこまねいたわけでは無く、様々な福祉政策を行ってきたけど、焼け石に水。とても、追いつかない。
そういえば先月末の発表以来、なんでスマホなのかって聞かれるけど、アイディアを考え始めたのは昨年冬。横須賀市がイングレスを使って観光促進を仕掛ける話を聞いた時。イングレスは世界的な人気があるスマホのゲームですが、それを聞いた瞬間、ピンときた。
スマホを使えば、独居老人や遠く離れて住む世帯の課題をもっと解決できるんじゃないかって。激増する独居老人の方々のコミュニーションケア、800万人の認知症を患われている方々の見守り、居場所確認、激増する医療費対策など、スマホ一台で、何もかもこなせると。実は、3年ほど前に検討したことはあった。しかしながら、その当時、通信費が高く、アプリも貧弱で時期尚早。
しかし環境が変わった。高齢者向けに機能を絞り込んだスマホを開発すれば、ボタンを押すだけで安否を知らせたり、救急コールできる。医療相談したり、健康管理もできる。もちろん、遠く離れた子供や孫とテレビ電話だってできる。そう思って、今年の春になって、まず相談しに行ったのがCCC。
「地方は急激な高齢者増で悲鳴。高齢者をケアすべき家族は崩壊し、自治体も財政難、人手不足で為す術が無い。その上、医療費が天文学的な勢いで増えていく。これからの問題を解決するには、「自治体スマホ構想」しか無い。」
「重ねて、旧来の道路を筆頭とする公共事業に代わり、このスマホこそが、これからの新しい公共財になり得ると思う。」
と矢継ぎ早に熱く語りました。なぜCCCなのか。いくつか理由があるけど、通信事業に参入する力があって、自治体との連携や地域活性化に意欲的で、トップの決断が速い会社は、日本で3社くらいしか僕は知らない。現にいま問題が起こっていて、困っている人がいる中で、スピードこそが最大の武器。そういう意味で、CCCの決断は速かった。
さらに、全国に広がるTSUTAYAネットワーク、そして全国最大の利用を誇るTポイントも大きな強みになると思った。これがスマホと組み合わされれば、顧客価値が一気に広がる、すなわち、皆さんが喜んで使ってくださると思ったのが最初。あともうひとつの理由があるとすれば、チームの強さ。
今、皆さんのお住まいの自治体ときちんと連携するために、自治体スマホ連絡協議会の立て付けから、具体的にどんな実証実験をするのか、また、どんなスマホをどんな形で展開していくのか、今の全人生の7割はこのスマホにつぎ込んでいます。
かつて、この国のインフラは道路や空港だった。今ももちろんそうだけど、それ以上に、通信がますます重要なインフラになっていく。個人が必要な情報にいつでもアクセスできたり、お互い好きな時につながれる環境こそが、超高齢化社会に必要な公共財になる。それができたら、何歳になっても、どこに住んでいても、楽しく安心して暮らせる社会に少しでも近づけると思うから。